辻整形外科クリニック
PAINFUL LESIONTSUJI ORTHOPAEDIC INSTITUTE
MIS最小侵襲人工股関節手術

日本で現在最新とされるMIS最小侵襲人工股関節手術は、実は今から20年も前からアメリカで次第に行われるようになってきておりました。(cached text) 当院でもアメリカ人の知人の先生のアドバイスにより1993年より試験的に一部の患者さんに導入しており、日本のどこの大学病院整形外科よりも早くMIS極小侵襲人工股関節手術への取り組みと手術の施行を開始いたしました。当院ではMIS用の手術機械がメーカーから支給される前の、2002年より、新手術アプローチの考案により極小切開のMIS人工股関節手術をほぼ全例の人工股関節手術に際して行うようになりました。6〜9cmの小皮切で人工股関節手術を行って、皮膚の切開が小さいばかりでなく、股関節へは前外側筋間侵入という術式により股関節周囲の筋肉はほとんど切離しないで手術を行うため、手術後麻酔から回復したらすぐに車イスに乗ったり、全荷重歩行訓練を開始することができ、高度の亜脱臼がない場合は術後2日目頃までに歩行器等による歩行訓練開始が可能で、約1週間で一本杖歩行を行い、2週間ほどでの早い退院も可能です。ただし、術前の状態よりより良くするために筋力強化訓練や可動域訓練が必要な場合はさらにリハビリを行い改善します。
当院では人工関節設置部を直視下に置くMIS最小侵襲人工股関節手術(=MIS極小侵襲人工股関節手術)を人工股関節手術のほぼ全例に適用し、国内のほとんどの病院に先がけて、もう既に満5年が経過しました。術直後の短期的なMIS手術の優位性のみならず、従来手術とMIS最小侵襲人工股関節手術の患者さんの術後の長期成績の差も明らかになってきました。従来手術では人工股関節手術後にも歩行時に体がひょろつく跛行が見られることが多かったのですが、MIS最小侵襲人工股関節手術では手術後に跛行が全く見られない完全な歩行容姿の患者さんが過半数を占めるようになってきています。
前方侵入の極小侵襲手術では、股関節を屈曲(=「しゃがむ」格好)させても脱臼する心配はほとんどありません。手術翌日より車イスに自由に乗ったり歩行したりしてよいのはもちろんですが、手術後、最終的に正坐もほぼ全員可能で、後方侵入の手術では一般に禁止されることの多い和式トイレも、この前方侵入手術では用心してしゃがめばほとんど全員の方が最終的に可能となっています。(こちらから、和式トイレを控えるように指示したままの患者さんはほとんどいません。) 注:「前方侵入」は股関節を前方から脱臼させて手術する方法で、「後方侵入」は股関節を後方から脱臼させて手術する方法です。前方侵入手術では手術の傷は上の写真のように股関節の側方(横の方)かさらに前方にあります。後方侵入手術では手術の傷は臀部(おしりの方)にあります。
脱臼および脱臼肢位について: 脱臼や脱臼肢位で検索される方が(私から見れば)意外と多いのですが、一般論として、後方侵入手術の場合はしゃがむような姿勢の股関節屈曲時に脱臼することが多く、前方侵入手術の場合は、胡坐(=あぐら)の姿勢が危険です。「一般論として」と書いたのは、実際には自分の人工関節の向きがどうなっているかによって各自違うので術後の方は充分注意してください。脱臼発生率は後方侵入手術の方が前方侵入手術に比べて数倍高頻度なので、前方侵入手術の方が安全と言えます。長期経過を見てみると、正確に行われた前方侵入のMIS極小侵襲手術では、脱臼発生頻度はきわめて低く、日常生活に気を付けていれば、特殊な例を除いて脱臼はほとんどなくなってきています。 (人工股関節手術の術後の生活は、なるべくイスやテーブルの洋式の生活が望ましいのですが、やむを得ない場合で、男性の方で術後にあぐらをかきたいとか、女性の方で術後に絶対に正坐や和式トイレをできるようにして欲しいとかいうご希望は、そのことを考慮して人工関節の設置の向きを決定すれば、MIS前方侵入極小侵襲手術ではかなりの程度ご要望に添うことができますので、ご希望の方は術前に診察の際お申し付け下さい。)